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資産家・富裕層の相続税ってどのくらいかかるの?



この記事を読むと分かること

・相続税ってどのくらいかかるのか
・税金がかからない範囲の遺産ってどのくらいか


めちゃくちゃ資産持ってるんだけど、相続税で半分持ってかれるって本当?


相続税があまりかからない分だけ残してあとは使ってしまいたいんだけど、どのくらい残したらいい?


お金持ちならではの悩みです。

こんゆ編集長
こんゆ編集長

せっかく頑張って蓄財したのに親族に引き継ぐだけで税金とられたくないですよね


こんにちは、終活ライフケアプランナーのこんゆ編集長です。


筆者のまわりには異常にお金を持っている人が多くて、相続税の話もたまに話題になります。
(筆者はそこまで裕福ではないので、これはこれで贅沢な悩みだなぁと思って聞いています)


終活で自分の最後を考える時にお金の話はつきものですが、あんまり相続税でガッツリとられるんだったら、「宵越しの銭は持たない」の精神で、稼いだら稼いだ分だけ使ってしまった方が幸せなんじゃないか、という人もいて、まあこれはこれで一つの考え方だろうな、とも思います。


今日は、相続の際、実際どのくらいの税金を払わないといけないのかについて基本的なところを抑えながら、どのくらい残してどのくらい使ってしまおうかという基準についてもお伝えできればと思います。

まずは相続税の税率がどのくらいか


まずは基本的な内容になりますが、相続税の税率について簡単におさらいしましょう。


相続税額は相続人の数などによっても異なるので、1億円残して亡くなったら払う税金はこれ!という程分かりやすくないです。


シンプルに言うとこういう感じです。

①遺産の総額から、借金や葬儀費用、非課税財産(生命保険の非課税枠など)を引く

②①から相続人の数に応じた基礎控除を引く

③残った「課税遺産総額」に対して相続税率を掛ける


借金や葬儀費用など、相続する側にとって利益にならないものには課税されません。ちなみに、亡くなる3年以内の贈与は遺産の総額にプラスされるのでここは注意です。


②については、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」が基礎控除になります。法定相続人というのは民法上の相続できる人であり、個別に作成した遺言書での相続人とは違うこともあります。基本的には配偶者と亡くなった方の血族(両親、祖父母、兄弟姉妹、姪甥、伯父伯母)が法定相続人です。


夫が亡くなって、残されたのが妻・子ども2人なら、基礎控除は4,800万円です。多くの家庭において、相続財産がこの基礎控除内だったりするので、庶民は相続税をあんまり気にしなくていい、と言われるゆえんだったりします。


③の相続税率は以下の表から計算します。

※実際計算するときは、「法定相続分×相続税率」を各相続人ごとに計算して、それを合計して、実際に相続させる割合に応じて相続税の負担も案分するという形になります。
(民法上は妻50%・長男25%・次男25%といった割合が法定相続割合ですが、遺言書で長男100%とするケースもあり、その場合に妻と次男がもらってもいない遺産に対して相続税を払うのはおかしいからです)

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

※参考:国税庁№4155相続税の税率



計算がややこしい、という方もいると思います。


税金ってなんでこんなにややこしい計算するんですかね。。と筆者も思います。


そこで例としてざっくり計算したものをお伝えするとこんな感じです。


【ケース①】
遺産総額1億円、葬儀費用500万円、借金無。夫が亡くなり、相続人は妻と子ども2人。法定割合通り相続。

このケースだと、支払う相続税総額は約250万円

【ケース②】
遺産総額2億円、葬儀費用500万円、借金無。夫が亡くなり、相続人は妻と子ども2人。法定割合通り相続。

このケースだと、支払う相続税総額は約1,000~1,100万円



思ったより少ないと思った方もいるかもしれません。


というのも、上記の相続税総額は子ども2人分だけで、妻に相続税がかかっていません。


これは「相続税の配偶者控除」の特例といわれるもので、配偶者に限っては相続した遺産が法定相続分の範囲内か、もしくは1億6,000万円以内であれば相続税がかからない、というものです。


だいたい配偶者というのは亡くなった方と歳も近いでしょうから、夫→妻への相続で相続税が引かれ、すぐに妻→子どもへの相続で相続税が引かれる、ってなったら「税金取りすぎだろ!」という話にもなりかねないので、優遇措置があるのでしょうか(筆者の想像)。


とはいえ、最近はなんでもかんでも増税なので、こういうのも今後どうなるか分かりませんね。。


ちなみに、上記のケース①②と同じ条件で遺産総額が10億円になった場合は、支払う相続税総額は1億6,000万円くらいになるので、結構跳ね上がる感じはあると思います。これが累進課税の怖さといえます。

どうやって遺産を残しておくのが賢いか


相続税の仕組みから考えて、どのくらい遺産を家族に残しておくのがよいのでしょうか。


先ほどの「相続税の配偶者控除」の特例についていえば、1億6,000万円までは配偶者の相続税はかからないのであるなら、全て配偶者に相続させればその金額までは無税でやり過ごせるということになります。


「夫婦で貯めたお金は夫婦で全部使ってしまう!」


ということあればこの方法が賢いかもしれません。


ただ、子ども世代に相続する、しかも、それが基礎控除額を超えてしまうということであれば、夫の1回目の相続、妻の2回目の相続で、それぞれ子どもが小分けにして相続した方が相続税が上がりにくくなります。


相続税には基礎控除があるのと、累進課税ですからね。


ちなみに、ここでの話は遺産を全部現金で残した場合での話をしました。


遺産の内訳が全部現金であれば、最悪、子どもにものすごい相続税がかかったとしても払えるのでいいのですが、不動産だったり、非上場会社の株式とかだったりすると、現物はもらうけど相続税は現金で払うということで遺族が苦しんでしまうでしょう。


遺産総額が相当の金額になってしまうのであれば、多少損をしても現金化して相続人が困らないようにしておくといったことも優しさかもしれません。


不動産についていえば、2020年4月1日に施行された「配偶者居住権」を使うのもアリかと思います。


「配偶者居住権」というのは、残された配偶者が亡くなるまで今まで住んでいた住居を一定期間無償で使用できるという権利です。例えば、遊び人の夫が愛人と子どもを作っていて、その子どもと配偶者が遺産争いになった時、配偶者が今まで住んでいた家を出ないといけないような状況を防がねばという経緯でできた法律です。


これを使えば、夫の1回目の相続の際に、子どもに自宅を相続させて、妻はそのままその家に住まわせるという設計をして、場合によっては節税になることもあります。


なぜ節税になるかというというと、配偶者居住権を設定すると、相続時に自宅の評価額が所有権部分と配偶者居住権部分に分けられるので、所有権部分の割合が相対的に減り、節税になるということです(配偶者居住権は配偶者がな亡くなった際に消滅するので相続税は発生しない)。


ただ、子ども側に持家が無い場合、「小規模宅地等の特例」という別の特例で、土地の相続税評価額を最大80%カットできるというものもあるので、「配偶者居住権」を使って1回目の相続で子どもに自宅を相続させるよりも、2回目の相続で「小規模宅地等の特例」を使った方がメリットが出るケースもあるので、きちんとシミュレーションした方がよいです。


また、非上場会社の株式についていえば、どこかのタイミングで会社に買い取ってもらう、もしくは、第三者に譲渡するということを考えるのが良いと思います。


良い会社であれば、第三者に売却した際に、「今後生み出す収益」であるのれんもたっぷり上乗せしていただいた額で売却できるので、そもそもの資産価値が上がる他、譲渡した時の課税も金融所得課税扱いで20%程度なので、現金としての手残りも多いです(さらに退職金も組み込めればもっと実効税率は安くなります)。


このあたりは、筆者は本業でもあるので、相場観もわきまえております。


他にも、財団を作って相続税対策をするとか、事業承継税制を活用して相続税を掛けずに事業承継するといった相続税対策があったりしますが話が長くなってしまいますので、一旦ここまでということで。


最後までお読みいただきありがとうございました。


※相続税の計算は経験のある税理士の先生にしてもらいましょう

この記事の著者

終活ライフケアプランナー

こんゆ編集長

プロフィール

終活ライフケアプランナーとして活動しつつ、様々な情報発信中。大学卒業後、銀行、商社、コンサル会社を経て2020年に経営コンサル会社を設立。経営・M&A・FP・保険等について幅広く支援。ちなみに韓国人俳優コン・ユのようなイケメンではない。