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経営者の終活は直前だと間に合わない?

この記事を読むと分かること

・一般の方と違って、経営者は死ぬ前に何を準備しないといけないのか

・今からできる経営者の終活


会社を経営していたり、個人事業主で働かれていたりすると、「定年して老後を過ごして、そろそろ終活・・」とはならないことも多いです。


定年がない経営者は高齢になっても働かれているケースも多いため、「死ぬまで現役!」という方も多いのではないでしょうか?


そこで、そんな方々に一言。

こんゆ編集長
こんゆ編集長

できるだけ早く終活した方がいいです!


こんにちは、終活ライフケアプランナーのこんゆ編集長です。


筆者は経営コンサルや事業承継の支援が本業ではありますが、今日はその経験も踏まえつつ終活のアドバイザーとしてお伝えします。


そもそも終活とは、遺された家族に負担をかけないよう、人生の終わりについて考える活動のことですが、経営者の遺族は一般の方よりもやることが多いです。


葬儀やお墓など一般的な終活はもちろんのこと、会社や事業をどうするか、というのが一番重いと思います。


会社や事業の整理というのは、よほど小規模な事業でない限りは数日やそこらでできるものはないです。


具体的な事例も交えて、経営者はどう終活に取り組んだらよいか、についても解説していきたいと思います。

何の準備もなく経営者が逝去された事例



筆者は、会社や事業の譲渡をお手伝いする仕事をしていますが、稀に、経営者本人ではなくそのご遺族が会社や事業の譲渡のご相談に来られます。


とある案件では、経営者兼オーナーであるご主人様が仕事中にご急逝してしまい、会社のことが何もわからない奥様とお子様が困惑しながらも、取引先に説明に回り、従業員を引き留めているが、そろそろ限界なのできちんとした会社に売却できないか、というご依頼をしにこられました。


お話をおうかがいすると、奥様もお子様も元々その会社を引き継ぐ予定はなく、会社もご主人様に任せっきりだったようで、会社株式の生前贈与などもされていないとのことでした。そればかりか、会社でも社長であったご主人の代わりになるような方の育成もできておらず、今までワンマン経営だった社長の指示が無くなった社員たちが困惑している、という状況です。


ご遺族の奥様もお子様としては、いままで仕事を頑張ってくれていい生活をさせてくれてありがとう、という感謝の気持ちはありつつも、後始末はもう少し考えていて欲しかったなあ、とお話されていました。


おそらくこういう話は、結構多いのではないかなと思います。


亡くなり方として、急逝するケースばかりではないので、例えば悪性腫瘍のステージ4で余命宣告された方が会社の将来を案じてご相談に来られるケースもあるでしょうし、糖尿病を患い人工透析が必要な体になってしまったことで事業意欲が無くなりご相談に来られるケースもあるでしょう。


ただ、人の死はいつ訪れるか分からないので、「健康なのにまだそんな話は早いよ」と言われるくらいのタイミングで、家族には会社や事業をどうしたいか、具体的に何をしたらいいのかを相談しておくのが、もしかしたらちょうどよいのかもしれません。

具体的に経営者は何を準備しておくべきなのか


それでは、具体的に経営者の方は一般の方の終活に加え、一体どんな事前準備をしておけばよいでしょうか?


例えば、このようなことかと思います。

・会社の経営権をどうするか
・会社の運営をどうするか
・税務対策をどうするか
・係争問題をどうするか
・個人の資産と会社の資産を伝えつつ、いざというとき何をどうするか


一つずつ見ていきましょう。

会社の経営権をどうするか

まず、会社の経営権をどうするかという話です。


株式会社であれば株式を動かす形で会社の経営権(所有権)を異動させます。


大体は創業社長が持っていることが多いのですが、会社に保管されている株主名簿を確認したり、株券を確認することで誰が株主かわかります(最近の会社は株券を発行していないので株主名簿で確認するのが確実です)。


有限会社(厳密には特例有限会社)の場合は、一株二株ではなく一口二口という言い方ですが、この出資持分の異動で経営権の異動ができますので、大まかには株式会社と同じ見方で一旦問題ありません。


相続したときなどはこの出資持分を相続する形になりますが、思わぬ相続人に株が渡ってしまったりすると混乱するので、生前に徐々に贈与していくことも多いです。


もし、全く生前贈与していなかったりした場合は、他の財産を会社と関係ない方に渡し、会社の株式を継がせようと思っている遺族に渡すような遺言書を書いておく、というのでもよいかもしれません。


終活として生前に経営権を渡しておこう、と思ったら、大きくは「親族が買い取る」「従業員が買い取る」「社外の第三者が買い取る」という方法になります(IPOなどは一旦除きます)。



それぞれ、良い点悪い点ありますが、実情も踏まえるとこういう感じです。


【親族が買い取る】
子どもなど親族が会社を継ぎたい意思がある場合に行う。ただ、株式を買い取れるだけのお金があるか、お金が無いなら銀行は貸してくれるのか、会社の借入で社長が連帯保証になっている場合はこの連帯保証も引き継ぐということになるケースが多いのでそれも許容できるか、などの問題がある。


【従業員が買い取る】
創業一族が会社の株式を現金化できるメリットがあり、会社のことをよく知っている人間が引き継ぐので安心感がある。ただ、親族が買い取る場合と同じで、資金力、保証能力・意思の部分で、従業員側が難色を示すケースがある。


【社外の第三者が買い取る】
創業一族が会社の株式を現金化できるメリットがあり、より大きな資本力があるところに譲り受けてもらうことで、資金面や人事面、営業面など様々な点で安心感がある。ただ、相手先がどのような会社(人物)かよく分からない状態で譲渡するケースもあるため、譲渡後の方針などで想定外のことが起こることもある。


どれが一番良いか、というのは非常に難しい話ですが、まず前提として「親族が買い取る」「従業員が買い取る」については、譲り受ける側本人にその希望があるかどうかという話なので、心当たりがないか考えてみて、場合によっては少し探りを入れてみてもいいかもしれません(家族であれば、直接聞いてみるのがよいかと思いますが、従業員の場合はいらぬ心配を与えてしまうこともあるので注意してください)。


「社外の第三者が買い取る」のが、あとくされなくていい、という考え方の人も最近では増えているので、昨今中小企業のM&Aが盛んに行われているわけですが、これは実際やってみると時間が結構かかるので注意しましょう。


買手がスムーズに見つかったとして、6か月~1年くらいのイメージですが、2年3年経っても買手が現れず譲渡できない、ということも普通にあるので、「決まらなかったとき」も想定に入れた上で、動くことをお勧めします。


なお、株式譲渡でなく、事業譲渡という形で、会社ではなく事業のみを譲渡するという方法もあります。


事業と関係ない不動産を持っているとか、同一法人内で処分したい事業と残したい事業が混在しているケースなどは、この方法で事業を譲渡するケースもあります(ちなみに個人事業主の場合は法人格が無いのでこの形式になります)。


ただ、この方法の場合、譲渡した後にも手元に会社は残ってしまうので、相続で株式をどうするか問題は以前として残ります。


ちなみに、現金以外の株式や事業を相続させる場合、「事業承継税制」という税制優遇措置を使って、相続人に本来発生する相続税や贈与税を全額免除扱いにする、という手法もありますが、色々ルールが厳しかったり、相続人側が毎年届出書を出さないといけない、などのややこしい点もあるので、これは考えものですね。

会社の運営をどうするか

会社の株を移転させたからといって、会社に関わる問題が解決するわけではありません。


誰が資金調達をして、誰が設備投資を指示して、誰が営業戦略を立てて会社を動かすか、などという運営に関わる部分は会社の経営権(所有権)とは別の問題です。


よくあるのは、会社に長年勤めてきて今後も働く意思のある方に、まだ社長が元気な内に徐々に権限移譲していく、というものです。


本人のモチベーションや対外的な見方を整えるために、経営権こそないものの、代表取締役に据えるということもあるでしょう(一般的な株式会社の場合は代表取締役だから会社の株式を持っていないといけない、という縛りは無いです)。


経営の引継ぎも終わり、社外の人も自分ではなく新しい経営者を向いてやり取りができていて、旧経営者はお金の勘定だけしている、というところまでいけば一安心かと思います。


実は、前述した社外の第三者に経営権を異動させる、というシーンにおいても、社長がいなくなってしまったら会社が傾きますという会社よりも、社長がいなくなっても№2が何とかしてくれます、という会社の方が安心して買収できることから、買手の選択肢が増える傾向があります。


ただ、権限移譲の注意点としては、あまり全権渡してしまうと、退職して同業を立ち上げられてしまう、みたいな怖さも無くはないので、この辺は親族なのかそうでないのかでも対応が異なるかもしれません。できれば、大きな権限を委譲する・会社の企業秘密を伝えるのであれば、競業避止をきちんと書面で担保する、営業秘密は判例なども参考にしながらきちんと管理する、といったことが重要です。

税務対策をどうするか

税金対策についてもきちんと家族には共有しておきましょう。


会社経営をしていると、合法的な範囲内で法人税等をできるだけ少なくする努力をどの会社もすると思いますが、税に関する考え方というのは結構人それぞれだったりします。


筆者も色々な帳簿を見てきましたが、そんな費用まで経費に入れちゃうの?税務調査入った時に大丈夫?というような会社も中にはあります。


口に自信のある経営者は、ひろゆきの如く、調査員を丸め込もうとするのかもしれませんが、亡くなった後は自分以外の人が税務調査の対応をしないといけないので、そこはきちんと引継ぎしておかないと不安ですよね。


税の知識は、一般の人と経営者では大きく違うので、何度も分かりやすく伝えてあげるのがよいと思います。


古馴染みの税理士がいるから大丈夫、という方もいるかもしれませんが、その税理士も退職するかもしれないですし、先にお亡くなりになるかもしれませんので。。


また、経営者は大きな資産を築かれていることも多いと思うので、個人の相続税についても相続した後に税務調査が入ることなんかも想定しておいた方がよいです。約10%の割合で税務調査が実施されると言われているので、他人事でないといえます。

係争問題をどうするか

これは当てはまる会社とそうでない会社がありますが、もし取引先などと揉めて、係争に発展しそうな話があれば、生前でもきちんと共有しておくのがよいかと思います。


大抵は弁護士を雇い対応するかと思いますが、どの事務所のどの弁護士に依頼しており、どのような資料を提出しているか、いざというときにどこに連絡したらよいか、などは抑えておきたいところです。


裁判というのは証拠が命なので、ご逝去された関係でその証拠を出せなくなってしまい、裁判にも不利になってしまった、ということにならないよう、火種が出た瞬間に証拠集めしてきちんと管理するのがよいかもしれません。


また、昔退職した社員が労基署に駆け込んで「未払残業代よこせ!」ということも会社を経営していると起こることがあります。


こうした予期せぬ問題にも対応できるよう、こういう問題が起こったら〇〇先生に連絡する、と決めておくことも、普段以上に重要かと思います。

個人の資産と会社の資産を伝えつつ、いざというとき何をどうするか

終活において、エンディングノートという遺族に宛てた資料を作成することもありますが、これは個人に関係することが中心な内容です。


会社の資産については毎年決算書などにもまとめるので比較的見やすい状態ではありますが、簿外に保険契約が存在する、借入では保証人の設定がある、保有不動産は担保に入っている、などきちんと伝えておいた方が良いと思います。


そういう意味では、経営者の相続人であれば簿記は知っておいて損はないかなとも思いますね。


また、夫婦で事業を営まれていたりすると、夫は営業中心で妻が経理、という役割分担で運営しているケースもあるかと思いますが、奥様が先に旅立たれてしまったあとに管理できなくなってしまわぬように、旦那様も、奥様が税理士と打ち合わせしているところには同席するなど、任せきりにならないようにするのもよいかもしれません。

今から始めよう!経営者の終活


終活といっても何から始めていいか分からない、という方もいるかもしれません。



そういう方は、エンディングノートのような資料をまず作成して、家族などに対して伝えないといけない情報を整理することから始めます。


経営者の終活の場合は、それに加えて、上記のような例にある「会社や事業について伝えないといけない情報」を整理することが重要です。


現在、筆者の方で、経営者向けのエンディングノートを作成中ですので、そちらも完成しましたら提供開始できればと思いますが、特に形式にとらわれず、A4用紙に箇条書きで書いていくでも良いので始めてみましょう。


こういった情報を整理することで、「遺言書を書かないといけないな」など具体的な行動に繋がります。


場合によっては専門家もアドバイスも必要になる場面もあるかと思いますが、是非人生最後の締めくくりとして終活を完結しましょう!




最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の著者

終活ライフケアプランナー

こんゆ編集長

プロフィール

終活ライフケアプランナーとして活動しつつ、様々な情報発信中。大学卒業後、銀行、商社、コンサル会社を経て2020年に経営コンサル会社を設立。経営・M&A・FP・保険等について幅広く支援。ちなみに韓国人俳優コン・ユのようなイケメンではない。